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取材手記

常日頃、全国各地の仏壇産地や工房を巡り、多くの職人や経営者とのやりとりを続ける鎌倉新書の記者が、取材の合間に書き綴ったちょっとした出来事や発見をお伝えします。

東京唐木仏壇の熟練職人と若手プロダクトデザイナーが共同開発「旅する仏壇」
2016.11.05
東京唐木仏壇は江戸時代から続く伝統の仏壇工芸。これまで脈々と受け継がれてきた職人の技術が、いま継承するのが難しくなっている。東京仏壇をつくる技術をもった職人の「若手」は60 代。仏壇の売り上げは大幅に減少し、仏壇職人だけでは生活できないのが現状だけに、次の世代を担う後継者もなり手がいない。このままでは受け継がれて技術が失われてしまう――。
伝統的な技術を後世に残し、仏壇職人になりたいという若い人を増やすため、そして、仏壇のイメージを大きく変える。東京唐木仏壇の職人と若手のデザイナーが手を組んで、「旅する仏壇」プロジェクトを立ち上げた。



「旅する仏壇」とは
「旅する仏壇は、故人へのさまざまな想いに合わせて、オーダーメイドでおつくりする小さな仏壇です。必要な要素を、お位牌、おりん、りん棒、香炉にしぼっています。それらをすべて仏壇の内部にしまって、そのまま持ち運べるように設計しています」



こうすることで、ひとり暮らしする子どもに仏壇を持たせたり、故人と一緒に旅行にでかけられるようにしたり。仏壇が日々の暮らしの中に居場所を持てるようにする。
「人と仏壇とのかかわり方が、これまでとは違ったものに生まれ変わるように、仏壇のあり方を見つめ直してデザインしました」
ひとつひとつが手仕事。唐木材の黒檀と紫檀のみでつくる。伝統の技術で細かな部材も狂いなく仕上げる。伝統の技術とたしかな材料によって、新しい仏壇が生まれる。商品開発から1 年半。ようやく満足のいく仏壇を完成させることができた。


プロダクトデザイナーの菊地さんに聞いてみた
この開発に関わったプロダクトデザイナーの菊地光義さんに、東京仏壇の職人と出会いを訊ねてみた。きっかけは、商工会議所が主催するマッチングイベント。はじめは職人らしく、とっつきにくい印象だった。足しげく工房に通ううちに、緊張がとけてきて、会話が弾むようになった。 「話してみると、とても気さくで優しい方たちでした。ぼくは仏壇のことはぜんぜん知識がなかったので、仏壇の職人さんの技術はどんなものなのか、仏壇や位牌はなぜひとつしかないのか、といった日ごろから抱いていた疑問をどんどん質問しました。その結果、仏壇は、実はとても自由であること、位牌はいくつつくってもいいもの、ということを教えて いただきました。いちばん大切なのは、「故人を偲ぶという気持ち」という職人さんの言葉に衝撃を受けました」。

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